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「カンボジア クロマートラベルガイドブック」
Vol.5 Oct - Dec 2007
 
田舎爺のひとり言
by 山田良隆

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田舎爺のひとり言
(スタディツアー編)





 最近、スタディーツアーの訪問をたびたび受けるが、私は時間の許す限り彼らを現場に案内し、研修してもらっている。彼らの要望はもちろん地雷処理現場の見学である。しかし私はまず地雷原ではなく、地雷原の中にある村落へ連れて行くことにしている。そして村のお父さん、お母さん、小学校の先生達と懇談してもらうことに多くの時間を割いている。なぜなら、カンボジア農村部の状況を少しでも知ってもらいたいからであり、地雷を理解してもらうにはこれが早道と考えているからである。

 村人たちは訴える。地雷のため耕作面積が少なく収入がほとんどないこと、金髪や白髪の子供達は染めているのではなく栄養失調で色が抜けているということ、トイレが無く衛生上問題なこと、病気や怪我をしても診療所が遠いこと、小学校には机も黒板も教材も満足なものが無いこと、通学路は地雷原に囲まれとても危険であること、中学校が無いこと等々。「この劣悪な環境を一日でも早く改善し、村を再生したい」という村人の切なる思いを感じることは、地雷の本当の残酷さ―戦争が終わった後も人々の生活を脅かしているという事実―を知ることに他ならない。

 研修生の中には、自分達とあまりにも違う境遇に涙ぐむ者もいる。ある女性は「カンボジアを旅行した多くの人が『カンボジア人は皆明るく朗らかで、子供達の目はキラキラ輝いている』と言いますが、あれは一部なんですね。地雷原の中で生活して朗らかなわけないし、栄養失調で苦しんでいる子供たちの目がキラキラ輝ているわけないですよね」とつぶやく。(なるほど、そんな見方もあるのか。)

 その後、現場で地雷処理の意義や支援のあり方について勉強してもらう。日本のCMACの地雷処理事業への支援金は年間約三億円に昇り、その他に車両等も支援している。日本国民の血税はここで有効に使用されており、カンボジアの農村部の開発に大いに役立てている。日本が地雷処理に多額の支援をしている意味を理解してくれただろうか?(田舎爺がそんなこと考えるのはおこがましいかな。)

 帰途、地雷原近くのコ−ケー遺跡に立ち寄る。プラサットトムのピラミットの頂上から周囲を見渡すと、濃深緑の密林がプレアヴィヒアの大地に静かに広がっている。ピラミットによじ登る研修生を眺めながら、何か一つでも感ずるものを持って帰国してもらえればなぁ、と思いにふける田舎爺であった。

筆者: 山田良隆(やまだよしたか)
カンボジア地雷対策センタ−(CMAC)アドバイザ−CMACシェムリアップ地方センタ−勤務