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「カンボジア クロマートラベルガイドブック」
Vol.1 Oct - Dec 2006

国境を越えて
by 鬼頭康

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国境を越えて
〜ピックアップトラックで行こう〜




 
 大体、おかしいんですよね。ポイペトにターミナルがあるって事。いつも、国道の脇に車を留めて客を乗せてたじゃないですか。だから、僕は、一生懸命歩いて探してたのに。一台も停まってないじゃないですか。

 いいですか、ターミナルを作るとですね、・・・ほら来た。

 「はろー。どこへいくんだい?シェムリアプ?さあさあ、こっちへおいで。シェムリアプ行きはないから、まずこのトラックでシソポンまで行きな。さあ、のったのった。おっと待った、お金を払ってもらおうか。今すぐだよ。100バーツ。」

 ね、こういう輩が腹の立つ商売を始めるのですよ。いいですか、ここからシソポンまで、トラック荷台なら20バーツでしょうが。えーい、うっとおしい。誰が払いますか、あんたなんかに大事なお金を。俺は降りるときに運転手に直接払うんだぁ。ねぇ、みなさん。降りるときはらいますよねぇ。ほれみろ、ばかやろう。それから、みなさん、20バーツですよねぇ、シソポンまで。・・・え?違う?50バーツ?嘘でしょ、みなさん。ふーん、そうですか、そうですか。ま、いいや。降りるとき皆さんが払うのといっしょに、ええ、僕もちゃんと払いますとも、みなさんと同じだけの金額を。あなたには払わないって言ってるでしょう。別にケチで言ってるんじゃないですからね、僕は。さあ、出発、出発。

 いやー、雨季なのに晴れてると暑いですねぇ。さて、ここからが悪名高く、世界三大悪路の一つといわれるシソポン‐シェム・リアプ間の国道6号線ですな。確かに悪路でありますね。だって、穴ぼこだらけですもの。本当に頻繁にバスが壊れてますもの。ついでに、雨季になると橋が流されたなどといって恐ろしい渋滞が起こっていますもの。だいたい、あれでしょ、わざと橋を壊したりしてるでしょ、あなたたち。わざと、穴を深く掘って車を止めてるでしょ。知ってるんだからね、まったく。それで、橋渡しとか、食べ物売りとか、時間をわざと遅らせたりとか、いろんなセコいビジネスしてるでしょ。いいですよ、いいですよ。やってください。ただ、僕が知りたいのは、世界三大悪路というのは、あと2つどこなのか。大体、誰がそんな事言い出したんでしょうねぇ。まったく。旅行者はヒマだからすぐに『世界三大○○』を作りたがるですからね。知ってます?『世界三大ガッカリ』なんて。そんなものがあるんですね。シンガポールのマーライオンと、コペンハーゲンの人魚姫と・・・後どこでしたっけ。わすれちゃいました。いいんです。そんなもの興味ありません。できれば僕は世界三大悪路の方を知りたいですな。悪路なんぞ、中国にワンサカありそうですけどねぇ。

 さてさて、そんな事をぶつぶつ言っているうちに、荷台も満員になって出発してるじゃないですか。そういえば、この日産ピックアップには何人乗れるのでしょうね。いやぁ、久しぶりに乗ると鋭い質問が思い浮かぶものですな。1,2,3、・・・17、と。17人ですか。あと、スクーターが一台ですか。それに犬が1匹ですか。なるほどね。乗れるものですねぇ。畳2条くらいしかないスペースに、よくこんなにも。という訳で正解は、17人!!・・・と、1匹!!・・・・・・痛てっ!ちょっと、舌を噛んだじゃないですか。勘弁してくださいよ、この穴ぼこ道。うっぷ!!砂が口に入ってくる!砂嵐だ!いや違った。ただトラックが砂を巻き上げてるんですな。ああ、どうせ後で3回くらいシャワー浴びてもまだ泥が出てくるんだろうな。ねえ、みなさん。たまんないっすねぇ、全く。でも、本当はね、こうやってみなさんといっしょにトラックに乗るのが楽しいんですよ。これホントの話。
著者: 鬼頭康(きとうこう)

愛知県名古屋市出身。在カンボジア歴5ヶ月の間シェムリアップの孤児院で働く。現在は小学校教諭